2020年4月23日木曜日

こころを豊かにする“読書”

コロナウイルスの影響は様々な分野に広がり、なかなか収束への目処が立たない状況ですね…。今は、感染しないため、感染させないためには、外出を自粛し、人との接触を減らすことが求められています。
リワークでも、参加されている方々の安全を第一に考え、通常の集団での活動を一時休止しています。現在は、個別面談や個別作業のみの活動を行っている状況です。

さて…
自宅で過ごすことが多くなり、“誰か”とではなく、“個人”で過ごす時間がおのずと増えていると思います。何かしなければいけないわけではありませんが、何をしよう・・・と悩むこともありますね。

私は“読書”の時間が増えました。そこで、読書について、勝手ながらこちらに書いてみようと思います。

「本が好きだ!」という方には、読書はわくわくする時間や充実した時間と感じられるかもしれません。一方で、「本はあまり好きじゃないかな…」という方には、時間がかかるし、苦行だよ〜と感じられるかもしれません。

皆様はいかがですか?
リワークでは、「さぁ、読書をしましょう!」というプログラムはありませんが、個別作業の際に読書をされている姿や、休憩時間に最近読んだ本を紹介したり、その紹介を聞いていたり…されている姿を見かけます。“本が好き”や“本を結構読むよ”という方だけでなく、多くの方にとって、「読書」もしくは「本」は身近に存在していることだと私は思います。

では、読書がもたらす効果には、どのような事が挙げられるでしょうか。

メジャーな所で言うと、語彙が増える、文章力が高まる、偉人の考えを知ることが出来る、気分転換や趣味の時間になる…など、たくさんのことが挙げられていると思います。“年収”と“本を読む量”が比例しているなんていう話も耳にします。

さまざまに挙げることが出来ますが、私が思う読書の効果は…
「自分を知る」こと、そして「こころを豊かにする」ことです。

私の恩師がよく言っていた言葉があります。それは、「小説がおすすめだけれども、どんな本でも良い。本を読みましょう。本を読んで、人を知る。そして、自分のこころがどんな反応をしたか観察してみて。それが、人との関わりの中で生きてくる」です。

本といってもさまざまな種類がありますが、例えば小説。
小説を読んでいると、知らない間に、あたかも自分が主人公になったかのように一喜一憂していることがあります。もしくは、主人公のライバルとして描かれている登場人物を主人公よりも応援していることがあります。主人公に、もしくは別の登場人物に共感しているのだと思います。
また、ストーリーを追う中で、腹立たしい気分になることや、悲しくなること、愛おしく感じることなど…いろいろあります。そして、自分には、こんなにたくさんの感情があるのだと気付かされます。また、こんな気持ちになるのか…と自分自身のこころの動きを知ることになります。
でも、どうしてか、同じような感情ばかり出てきて、見えてこない感情があることにも気付かされます。見えてこないというのは、自分が気づいていないということではなく、自分が取り扱うことを苦手としている感情のことです。

どろどろした気持ちや、そういった人間関係に抵抗がある方は、それを避けたい。つまり、自分の中で取り扱えない、抱えられないから、触れやすいハッピーなストーリーを選ぶことが多くなるかもしれません。恋愛物でドキドキしたい方は、きっとそういった気持ちを取り扱うことを得意とされているのだと思うので、抵抗なく楽しく読まれると思います。一方で、他者がハッピーになることを妬ましく感じる自分がいると、そういった小説とは距離が遠いかもしれません。
恩師の言葉の“人を知る”には、他者のことだけでなく、自分自身のことも含まれていると私は考えています。自分がどのような場面で共感するのか、自分が何を求めて、もしくは何を避けて本を読んでいるのかを知ることは、自分自身がどのような場面を得意(苦手)としているかを自分で把握する(自分を知る)ことでもあると思います。

もう一度小説を取り上げてみます。小説の中の主人公は、私達がさまざまに感じているのと同じように、さまざまな感情を見せてくれます。その中には、共感しやすいものもあれば、自分にとって親しみのない感情も出てきます。
共感しやすい感情は、こころを揺さぶってくれるかもしれないし、感動を呼び起こしてくれるかもしれません。豊かに、こころを活動させてくれます。
親しみのない感情は、日頃触れることのない感情に、私達を出会わせてくれます。こころの中に新しい分野を登場させてくれます。すると、親しみのなかった、もしくは自分では取り扱いにくかった感情を、自分の中で取り扱えたり、親しみのあるものに変えてくれたりするかもしれません。

だから…
読書には、自分を知る(自分自身への理解を深める)効果や、こころが豊かになる(活動性を高めたり、新しい分野を登場させてくれたりする)効果があると、私は考えます。

リワークでは、自分を知る(自分への理解を深める)ことも復職への道筋として重要な事柄です。

集団でのリワークでの活動が休止し、個別での活動になった今、自分を知る、そして皆様のこころを豊かにする機会として、読書をしてみてはいかがでしょうか?
危機的な状況ではありますが、自宅で過ごす時間や個人で過ごす時間の少しの助けになると良いなと思います。

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