2019年7月23日火曜日

個人プレゼンテーション

今年は梅雨入りが平年より大幅に遅れたこともあり、二十四節気の「大暑」の時期になってもまだ梅雨明け宣言は出されていません。猛暑の到来が遅れていることをありがたく思う一方、真夏の日差しがないことに少し物足りなさ(?)も感じてしまいます。
リワークプログラムでは、毎月個人プレゼンテーションを行っています。テーマはスタッフが指定したもので、たとえば3月は「春」、6月は「雨」など季節を題材にすることも多いです。
毎回のプレゼンで印象深いのが、メンバーの方々の表現力の高さです。メンバーさんそれぞれの経験に照らし合わせて発表していただけるように、やや抽象的なテーマ設定にしていますが、そこから想像力を広げてもらい、いつも本当に多様な発表が行われます。内容だけでなく、語り口にもそれぞれの方の個性があり、適度なユーモアも交えての話に、聴く側は引き込まれます。
このプログラムは、プレゼンの技術的な部分を磨くという意味もありますが、大事なのはメンバーさん一人一人の自己表現だと思っています。プレゼンを通してその人らしさが自然に伝わってくること、そしてそれをメンバーの皆さんで共有し尊重する場でありたいと思っています。
準備から発表まで、プレゼン内容について悩むこともあるかもしれませんが、そのプロセス自体が自己と向き合う大切な時間と考えていただき、自分らしさを大事にしたプレゼンをこれからも楽しみにしています

2019年7月3日水曜日

「完成」という癒やし

 リワークCRESSではルービックキューブをプログラムに取り入れています。月に一度、マニュアルを見ながら黙々と取り組むメンバーさん(時にはスタッフも)の様子から、このパズルが持つ不思議な魅力を感じずにはいられません。
 ルービックキューブはE.ルービック博士(専門は芸術及び建築学)によって開発され、1977年に彼の母国ハンガリーで発売されました。その後、世界で発売され1980年代にかけて一大ブームを巻き起こしました。1980年ごろには日本でも大きなブームが起きました。当時のことを覚えている方も多いでしょう。一家に一個は必ずあった、という表現は決して大げさではありません(非純正品が多く出回ったことでも知られます)。
 その後しばらくして大きなブームは去っていきましたが、2000年前後からまた世界中で静かなブームが起きています。インターネットで動画や解法が共有されるようになったことがその大きな要因です。スピードを競う大会が世界でも日本でも継続的に行われ、若いプレーヤー(キュービスト)が脚光を浴びています。不思議なことに世界記録を更新するのは、ほとんどが10代の若者です(驚くべきことに6面完成が5秒を切ります)。成人になると何らかの能力が失われていくのでしょうか。
 CRESSでは、マニュアルの助けを借りながらも、6面完成者が続々と誕生しています。なんと半数近い方が、卒業までには6面完成の瞬間を味わっています。10代のキュービストたちとは異なり、ある程度年齢を重ねた(人によっては身体や脳の衰えも感じている)今において、新しいスキルを学び、マスターできたという達成感は思いのほか大きな手応え、自信にもなるようです。
 仕事も心の治療も、そのゴールははっきりせず、完璧という状態も想定しづらいものだと思います。対してルービックキューブは、完成という誰が見ても明らかな、紛れもないゴールが存在します。それは、誰もが納得いくひとつの答えが見出しにくい社会に生きる、我々の癒しとも成り得るのかもしれません。