2020年10月26日月曜日

リワークの卒業〜「喜び」、「不安」、そして「悲しみ」〜

 最近のリワークでの出来事です。

何人かのメンバーさんが立て続けに卒業されました。職場復帰を決め、リワークを出て職場に戻っていかれたのです。

リワークのメンバーは復職を目標にして、グループに参加しています。リワークを卒業されたメンバーはその目標が達成されたのです。


リワークを卒業されていったメンバーは復職できる喜びを感じています。不安も感じています。そして、悲しみも感じています。


リワークを経験されていない方にとって、「喜び」は或る意味、理解しやすい感情でしょう。ようやく復職できるのです。

ただ、その「喜び」は、単に復職できるから、というものではないかもしれません。メンバーのリワークでの経験は階段を上るように一直線に復職に向かうものではありませんでした。卒業の日を迎えるまでに、メンバーはリワークという集団で何度も行き詰まり、辛い経験もします。リワークでも休職してしまうのではないか、というくらいに。そういう経験があるからこそ、リワークを卒業して復職することに、手応えがある。そういう性質の「喜び」です。


「不安」はどうでしょうか。この感情も、リワークを経験されていない方に予測できるところがあるかもしれません。リワークは卒業できたけど、本当に再発せずに仕事を続けられるのか。リワークを終了する人も、そう思うのではないか。

実際にリワークを卒業される方も、本当に上手くいくだろうか、という不安も感じているはずです。ただ、その不安は、自分自身について、リワークに参加する前よりもよく知るようになったことからも来ています。リワークの中での人間関係に悩み、その悩みをスタッフとメンバーと一緒に考えた。そういう経験を積み重ねる中で、自分自身を知るようになります。リワークの中の自分が、職場での自分とつながります。今まで見ようとしなかった自分の姿を見るようになると、「不安」がとても意味のある感情になります。他者に関わる時、環境と関わる時、自分自身がどういう経験をしているか知る時に、自分が知らない自分自身に悩むことを、リワークで経験した。自分自身の厄介さや大変さを知ったメンバーが、リワークを卒業する時に、不安を感じるのです。しかし、この不安は、職場に戻った時に、自分に何が起きているのかを考えようとする自分でもあります。そして、人の力を借りで、困難を乗り越えようとする自分にもつながります。これは、再発予防しようとする自分を携えてリワークを卒業していくことです。


「悲しみ」は、もしかしたら、リワークを経験しないと想像するのが難しい感情かもしれません。リワークでのお別れに対しての感情です。

ここまで書いてきたように、卒業する時に「喜び」や「不安」が、大事な意味のある感情になった時に、そのメンバーは休職期間にリワークで大事な出会いと関わりをしています。何の偶然か、この期間に一緒に参加した他のメンバーであり、スタッフです。復職を目標にして参加したリワークが、その大事な目標を達成した時に、これが悲しい別れの経験でもあったことを知ります。この人たちとの関わりの中で、自分が今、復職の喜びや不安を大事な感情だと感じられて、職場に向かっていく。そういう人たちと、不思議ですが、今日をもってお別れする。大事な人だと気付いた人と、別れることは悲しいことです。リワークを卒業されていくメンバーが、悲しみに心を動かしていることが、その方にとって、休職してリワークに参加した時間が、大事な時間だったことを証明しています。

それは、休職とした時には人との関りに絶望し希望を感じられなかったメンバーが、人との関わりによって助けられ何か希望を感じて職場に戻っていく姿でもあります。


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