2017年6月5日月曜日

「私の目標」に気づく時〜リワークで復職に向けた目標に取り組みましょう〜

リワークでは「私の目標」に毎日取組みます。

リワークに参加しているメンバーは、個人目標を設定します。
一週間の始まりの月曜午前のプログラムで、各自が目標を発表します。
そして、先週の達成度を確認します。
リワークの個人目標は、復職するために何が自分に必要なのかを明らかにする意味があります。
復職に必要となる目標は、多岐に渡ります。リワークで目標にしている代表的なものを、以下に紹介しましょう。
(1) 睡眠の目標
具体的には、「起床時刻」と「就寝時刻」を一定に設定します。休職しているメンバーの多くは、安眠がいかに難しいか体験しているます。眠れない、起きられない、途中で目が覚める、等。
睡眠が不安定な方が、一定時刻に寝起きして、睡眠の質を向上させるのは、大変難しいことです。しかし、リワークでお互い支えあい励まし合う関係が持てれば、規則正しい睡眠を一緒に目指す気持ちになれます。粘り強く、全員で取組みます。
睡眠が非常に不安定なメンバーは、毎日リワークに参加するのが大変です。職場に規則正しく通えない状態です。
しかし、参加当初は睡眠が不安定だったけれど、徐々に改善するメンバーもいます。改善するメンバーに特徴的なのは、リワークのメンバーとの関係が大事になってくるということです。メンバー同士で、治療的な恩恵を与え合える関係が出来上がってくるのです。そうするとリワークでの時間が大事に感じられるようになります。こういうメンバーは、病気の回復と復職のためには、健康な生活が大事なのだと本当に認識するようなります。睡眠の健康的改善と、リワークへの規則正しい継続的な参加とが、足並み揃えて起きてきます。
その一方で、健康的な生活を目指すリワーク集団の中にいながら、目標時刻に寝起きする努力や工夫が出来ないままのメンバーは、リワークの中で変化ができていないと言えます。再発のリスクは高くなるでしょう。リワークに参加して時間が経っているにもかかわらず、夜更しや徹夜などの行動をしている場合、事態は深刻です。本人がそれで良しとしている場合は、深刻です。こうした行動に本人が悩んでいて、相談できる場合には、改善へのチャンスがあります。

(2) リワークでの目標
リワークへの取組みに関する目標です。
次の二つの目標を設定します。「リワークプログラムへの取組み」の目標と、「リワークでの対人関係(コミュニケーション)」の目標です。
どちらも、リワークの中での体験に注目しています。そして、復職するため自分に何が必要なのかを考えた上での目標になります。
何が自分に必要かは、最初から分かっている訳ではないでしょう。リワークに参加していく中で、気付いていくものです。リワークの中での目標は、こうして練り上げられ、変わっていくものです。
目標を作る時には、他のメンバーを見ていて、自分に必要な目標に気付くことがあるでしょう。また、他のメンバーやスタッフからフィードバックしてもらったり、指摘してもらった体験が、目標設定に役立つでしょう。
例えば、或るメンバーがリワークに参加する中で、次のような自分に気付いたとしましょう。
「わたしには、本当は職場で困ったことや不安なことがあった。でも、不安を感じている自分を見るのが嫌だった。そんなことで人に相談するのも嫌だった。立ち止まるのが嫌だった。だから、わたしは、仕事に過剰にのめり込んでいた(オーバーワーク)。そうやって、オーバーワークによって、問題を擬似的に解決してきた。でも、結果としては、体調を崩してしまって、欠勤、そして休職してしまった。リワーク参加中に、わたしは、オーバーワークしてしまう自分にブレーキをかけられるようにする必要がある。そして、もっと本質的なことは、自分が何に困っていて、何を不安に感じているか、振り返って考えられるようになる必要がある。そのために、リワークの参加中に、メンバーのスタッフの力を借りて、自分が困っていること、不安なことを言葉にして相談したり出来ることを目標にしよう。」
このような過程を経て設定された目標は、そのメンバーにとって、非常に有益でしょう。大事な変化に繋がる目標です。
リワークでは、このように、各自が「私の目標」に取り組む姿勢を大事にしています。実際に、プログラムの中で、目標を発表し、達成度を確認します。
しかし、ただ目標を掲げればいいというものではありません。
自分の中にある弱い部分や、援助を求めている部分への注目なしに、美辞麗句な目標を掲げていては、空疎なスローガンになってしまうでしょう。
自分にとって本当に大切な目標を見つけるためには、自分だけの力では難しいのです。自分で自分に気付ける範囲は、非常に限定されたものに過ぎないからです。自分に都合の良いところしか、自分では自分を見られないのです。
しかし、休職に至っている自分の問題は、自分では見たくない部分、見ようとしない部分から発生しているのです。
それを見てくれる人は、自分以外の人です。リワークのメンバーであり、スタッフです。
リワークの「私の目標」の中に、他人から伝えてもらった自分の姿が、どれくらい反映しているのか。これが非常に大事なのです。
他者に自分のことを考えてもらった経験。そして、そういう他者から伝えてもらった自分の弱点。それがどれくらい、個人の目標に反映できているか。
こういう経験を含んだ「私の目標」が作れたならば。そういう目標に日々取り組んでいるならば。そのメンバーは、人の力を素直にもらえるようになっています。また、人に力を与えられるようにもなっています。そして、変化しています。

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