2016年3月17日木曜日

うつ病講座

本日のリワークの午後のプログラムでは、ドクターのうつ病講座が行われました。今回は「うつ病の再発・慢性化」というテーマで講義が行われました。

さて、皆さんは「うつ病の再発・慢性化」と聞いて、どのように感じましたか?
今回の講座に参加されていた方々も、講義のはじめは普段と比べると暗くて重い雰囲気が漂っているように思いました。

うつ病は再発・慢性化が多い病気です。しかし、必ず誰もが再発や慢性化するとは限りません。では、再発や慢性化しないためにはどうすればよいのでしょうか。

再発・慢性化の危険因子をご存知ですか?再発や慢性化には様々な事柄が複雑に関係します。いくつかありますが、特に気をつけるとよいものを3つご紹介します。

1.早すぎる服薬の中止
 主治医の先生の判断なしで勝手にやめてしまうとよくない
2.性格や考え方が偏っている
 0100しかない!裏か表か!正しいか正しくないかのどちらかだ!思い当たることはありますか?
3.本人を取り巻く環境
 どれだけ支えになるもの(人)があるか、どれだけ負担になるものを減らせるか


講義では、うつ病の再発率に関することや再発や慢性化の危険因子に関する講義が行われ、その後に症例が紹介されました。症例では発病前・発病・経過・現在の状況を順に見ていきました。「○○すると良い」「〜〜は避けたほうが良い」などと講義を聞くだけでは、なかなかイメージし難かったり、理解ができなかったりするものですが、症例をもとに話を聞くことで、参加されていた方々も「うんうん」「そうなんか〜」と頷きながら聞いておられ、とてもわかりやすく理解が深まったと思います。

症例をみていくことで、考え・気分・行動の3つは密に関係し、互いに影響しあうことがみえてきました。例えば1つの考えにとらわれてしまうと行動にも制限がかかり、上手くいかないと気分も落ち込む焦ると考えに柔軟さがなくなり、行動を起こせなくなるこれぞ、悪循環のスパイラルですね。

では、このような悪循環にはまらないようにするにはどうすれば良いのか?

再燃・再発予防の手段として、今回の講義で学んだこと。
1.    病気に対する理解を深める。
間違った知識のまま過ごすと、良くなるものも正反対の方向へ自分の体に起こっていることはしっかりと理解しておきたいもの

2.    ストレスの管理
働き過ぎない、趣味をみつけて気分転換、規則正しい生活。簡単そうでこれらをしっかりと取り組むことは難しい

3.    健康増進
飲酒や喫煙、カフェインの過剰摂取を避け、過度な運動を取り入れる。アルコールやタバコはお薬との相性が悪いことが多いです。禁煙される方は主治医の先生と相談されることをお勧めします。

4.    家庭、社会資源、自助グループの活用
家族やリワークなどでの仲間との関係は大きな支えになります。良好に保つことで対人関係のもつれによるストレスも軽減されますね。


上記の事柄が全てではありませんが、再発や慢性化しないために少しでも参考になると良いなと思います。

2016年3月4日金曜日

書道の時間

今日の午後のリワークでは書道を行いました。

書道は、今回で3回目の比較的新しいプログラムで、
・半紙や筆の感触、墨の香りを感じながら、自由に文字を書く事でリラックスして頂いたり、楽しさを感じてもらうこと
・テーマをヒントに自身を振り返り、文字で表現し、さらに作品についてメンバー間で発表しあい、自己理解や他者理解の機会にしてもらうこと
を目的に行っています。

今回のテーマは「春からの自分」でした。
皆さん自由にそれぞれ仕事や私生活などでなりたい自分や頑張りたいことなど、個性的な作品を発表してくださいました。文字にもその時の心の状態や文字に込める気持ち等が反映されるのか、文字に変化がみられ、メンバーさん自身がそれに気付いたり、他のメンバーから感想として伝えられるなど、ただ書くだけでなく自身と向き合っていただける時間にもなっているようです。メンバーさんからは集中して文字を書く事で気分転換になる、目標を文字にすることで前向きになれた、などの感想をいただいています。

目標や理想は、実際にはなかなか近づく事が簡単でないことも多々あるかと思いますが、実際に自分で文字にしてそれを見て、口に出してまたそれを耳で聴く、ということがなりたい自分に近づいていく上で大切な事と言われています。書道セットは手頃なものですと100円ショップでも手に入ります。

皆様がイメージした「春からの自分」に近づけるよう願っております。

2016年2月16日火曜日

目標をもって生活を。

早くも2016年の一月半がたちました。


インフルエンザが流行っているので、帰宅後の手荒いうがいは忘れないようにしてくださいね!!



タイトルにも書きましたが、皆さんは1年の目標たてていますか?
1年間を通しての目標なので、ざっくりした目標でもいいと思います。
目標設定して生活すると、達成感や目的意識を大切にできるので、生活に潤いが出て充実感が得られるはずです。



ただ1年間の目標をたてるだけでは達成出来ないので、達成する為にはどうすればいいか細かい設定も必要になってきます。

1回たてた目標だからと、変更してはいけない訳じゃないので、理想が高すぎたと思えば、その都度調整していくのもありだと思います。

何回も振り返る事が目標達成の近道になると思うので、よく目に着く場所に張り出してみるのもいいかもしれません。

また、一人では諦めてしまいそうな目標でも、誰かに伝える事で「やらなきゃ!」と自分の背中を押す事が出来るので、友達や同僚・家族に宣言してみるのも一つの方法です。

自分では気付きにくい変化に気付いて、応援してくれる大切な存在になると思います。



まだ目標たてていない方、なりたい自分を想像してみて下さい^■^

2016年1月29日金曜日

睡眠の大切さ

みなさんこんにちは!

厳しい寒さが続いておりますが、風邪や熱など体調管理は
いかがでしょうか?


今回は「睡眠」について書きたいと思います。

日々の生活の基盤ともいえる「睡眠」。
体調管理を整えていく上で最も大切なものかと思われます。
睡眠不足が原因で、日中はぼーっとして仕事が手につかず、ミスを重ねたり、
疲れがたまってイライラがつのるなど、睡眠の問題は日々の生活に
大きく影響されます。


また、うつ病になると「寝ようとしても眠れない」「朝早くに目が覚める」、
また逆に「日中に寝すぎて夜眠れない」などの症状があらわれるように
なります。そしてこうした症状から”昼夜逆転”につながってしまうことも
あります。

休職・休養中の方には睡眠に工夫するといいかなと思います。
やはりうつ病で仕事を休んだり、家事から離れている方にとって、
思い切って「何もしないで休むこと」はとても大切になります。
しかし、1日中ずっと布団の中で過ごしているような生活が続くと、
外出のきっかけをつかめなくなったり、会社への復帰も難しい状況と
なってくる可能性も高くなります。


睡眠は「ただ眠ればいい」ということでなく、「質の良い睡眠を得る」と
考えることが大事かと思います。

質の良い睡眠を得るためには、、、

*起きる時間を毎日固定すること
(意識を上げるためにも、記録をつけるのがおすすめです)

*昼間は少しでも体を動かすことを心がけること
(軽いストレッチや、近所をぐるっと一周散歩するなど、
無理せずできることからで大丈夫です)

*昼間の活動で疲れたから夜は眠れるようになる流れをつくること

といった睡眠のリズムができるのが理想的です。

ただ、夜疲れ果てて眠れるようにと無理に外出することはありません。
家の中で過ごす場合は、短時間掃除をしたり、読書をするだけでも、
日中の活動量を増やすきっかけになるかと思います。





「睡眠」は心身ともに健康であるために、また整えていくためにも
欠かせないものです。
だからこそ「質の良い睡眠」を意識して、少しでも心の負担を日々の生活から
和らげていけるよう心がけていきませんか?(*^∨^*)


2016年1月16日土曜日

アフターリワークプログラム


本日は、月に1度のアフターリワークプログラムでした。

(アフターリワークプログラムは、リワークプログラムCRESSを卒業し、社会復帰された方を対象に行っているデイケアです)


今日は、総勢15名の方が参加されました。
復職されて、1年半以上のメンバーさんから、今週CRESSを卒業されたメンバーさんまでおられました。

それぞれ参加時期や、復職時期は異なりますが、同じCRESSという空間で過ごし、お互いに刺激を受け合って、エネルギーを蓄え、復職へと向かわれた方々ばかりなので、初対面でも、打ち解けるのに、時間がそうかからないなという印象を受けています。

今日も、皆さんの活気ある声が、リワークルームから溢れ出ていました。

午前は参加者全員で、スタッフがファシリテートしながら、復職後の様子についてお聞きし、感じていることや、直面している問題について、自由にディスカッションを行いました。


あるメンバーさんからの問いかけの中に、
復職して、長期的に目標を掲げて成果を出さないと、後からやってきた人に追い抜かされてしまうように感じるという気持ちの言及がありました。

他のメンバーさんからは、共感する意見や、同僚や、友人・知人などに対して、同じように感じているが、それを乗り越えてやっていこうと思っているという意見などがありました。

また、何を目標に過ごしていくのかという視点において、再発しないようにやっていくというのを目標にやっていくということや、今に目を向けて一日一日を過ごしていくということや、短期的な目標をどういう風に設定するのかということなど、メンバーさんによってさまざまな意見が交わされていました。


他のテーマとしては、新しいことをこれからやっていこうとしているメンバーさんの不安や、戸惑いも話されていましたし、休職してみて、かなりしんどい状況になっているということについても、みなさんとても親身になってディスカッションされていて、メンバーさん一人一人の回復し、続けて頑張っていこうという意欲を再確認できた時間だったように思います。



午後は、全体では、カフェの時間を。そして、個別ではフォローアップの面談を行いました。

カフェでは、“ねったぼ”という、おもちとさつまいもを使った郷土料理を作ってみました。
一緒に作業しながら、普段とは違った空気の中でメンバーさん同士和気あいあいと話されて、少しでもリフレッシュしていただけたかなと思っています。



仕事が休みの日に、アフターに来るのは、一日が潰れてしまったり、他のスケジュールがこなせなくて、なかなか来るのが難しい方もおられると思います。

ですので、午前や、午後のみの参加だけでも構いませんし、毎月ではなく、数ヶ月に1回でも構わないので、少しでも、CRESSで栄養補給をして、翌日からの仕事へとつなげていただけたらというのが、スタッフの思いです。


せっかく、出会えたのですから、
一人で頑張っていこうとせず、一緒に一日一日、歩んでいきましょう。


次回は、2/20です。

また、みなさんにお会いできることをスタッフ一同、楽しみにしています。





2016年1月8日金曜日

一年のはじめに〜グループの持つ力を利用しよう〜

2016年。新しい年が始まりましたね。
リワークプログラムCRESSも、1月4日が初日でした。
私達がしばしば、休み明けの職場や学校には行きたくないと思うように、冬休み明けのリワークの初日には、多くのメンバーが足取りが重かったことでしょう。
リワークのセルフチェックのプログラムでは、生活リズムの改善にグループ全体で意識的に取り組んでいます。
セルフチェックでは、一週間の生活リズムをグループ内で各自発表してもらって、スタッフを交えて生活習慣の振返りと修正を実施しています。
身に付いてしまった生活習慣は、一人だけではなかなか変えられないものです。
しかし、「社会復帰に向けて、豊かな人生に向けて、より良い生活習慣を目指す」という共通の目標を持つリワークグループにしっかりと所属できれば、一週間をお互いが報告し合うセルフチェックによって、多くのメンバーが規則正しく、健康的な生活習慣を身につけることに成功していきます。
年末年始の長期休暇とは、以上のようなグループで抱えられる治療的体験からは、しばらく分離し、一人で生活を律しなくてはいけない時間です。
その分、生活リズムも乱れやすくなります。
特に、今回の休みは、大晦日にお正月。お祝い気分も高まります。
この休み中には、起床就寝時間が遅くなったり、暴飲暴食気味になってしまったり、運動不足になってしまったりしたこともあるでしょう。
せっかく確立しつつあった「より良い生活習慣」が、一瞬で崩れてしまったようで、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。

しかし、休み明けのリワークに来るのは苦痛でも、それを乗り越えてリワークにやって来れば、昨年までともに生活改善に取り組んでいたメンバーたちの顔があります。
リワークグループにしっかりと辿り着くことができれば、また立て直すことができるでしょう。

休職した方が、復職を目指す際には、いろいろな方法があり、リワークプログラムを利用するのは、その一つです。
リワークプログラムという方法の最も大きな特徴は何か、と訊かれれば、いろいろな答えが可能ですが、私は、「グループの治療的な力を利用して、休職者が自分自身を発見し、社会復帰と、より豊かな人生に向けた自己の変化に取り組むこと」だと答えます。
CRESSを見ていると、そう思うのです。

CRESSに参加しているメンバーにとって、リワークは治療の場であり、私たちは社会復帰に向けた心の仕事をしています。

上記したセルフチェクは、グループの治療的な力を用いた一例ですが、あらゆるプログラムがそうだといえます。
そして、それは、プログラムの時間に限りません。
休職という時間、同じリワークルームに通い、ともに生きる集団として、そのメンバーにリワークが体験されるとき、その人は、グループの持つ治療的な力を利用できる力を身につけつつあります。
これは、グループに個人が埋没してしまうことではありません。
個人が、他者との相互作用に開かれるようになることです。
自分と相手を理解していく作業に手を付けようとしていることです。

CRESSに参加しているメンバーの一人でも多くが、グループの持つ治療的な力の恩恵を受けられると良いなと思います。
そして、それは、一方的に与えられるものではありません。
リワークに参加し、悩みながらも自分と向き合おうとしているあなたが、グループの治療的な力を生み出している当事者なのですから。
そのとき、あなたは、誰か他のメンバーに、恩恵を与える人にもなっているはずです。





2015年12月1日火曜日

文化について


 最近、わたしが、ふわりと考えていることを書こうと思います。

 京都の紅葉がきれいで、雨が降るとより一層と赤みが強く感じられます。その中で先日まで公開されていた、「琳派展」にいってきました。
 琳派というのは、現在の日本人、外国人がみても新奇性があり、斬新な構図で描かれていたり、草書、行書などあらゆる書式を入り交えて書いている詩がありました。のびのびと人の目を気にせず、自分たちの表現を最大限に挑戦している姿がそこにありました。その表現者たちが「琳派」という文化を創っていました。また、それを良しとする風土がその時代、その時代にあったのだなぁ、と眺めていました。このような新奇性に富んだ人のアイデアを受け入れる文化が今、日本にあるのだろうか。。?

 日本の文化というと、「恥の文化」とおっしゃる学者もいます。

じゃあ「恥の文化」とはなんだろう・・
 海外の人からみると、日本人は、他人の目に常に気を配っており、自己評価=他者評価という考えを持っていると分析されています。だから他人と違う行動、発言を避ける傾向があると言われています。
 実際、生活していると、無意識、意識的にも、他人がどう思うか多かれ少なかれ気にし、絶えずバランスをとり、他人の考えがまるで自分の考えのように思ってしまっていることがあります。つまり、「人様に迷惑をかえているかどうか」の尺度で行動していることによって、「恥の文化」といわれる国民性が形成したんだろうと考えました。

これって悪いことなの??良いことなの??
 じゃあ悪いことなのかというと、そうではありません。白黒どっちかつけたいところですが、良い面と悪い面があります。
 
 「恥」に対し行動するというものは、悪いことではありません。人々を思いやりながら、"個"ではなく、"集団"的力を促進させる面があります。日本は災害の国です。個で行動していたら、人は救えませんし、助かりません。集団で行動することでお互いを助けあってきた文化背景があります。恥の文化は日本社会の原動力とも言えます。
 
悪い面は、どうでしょう。

 自身の所属している集団以外の社会に対して疎かになってしまうことです。そして、最後は、個人の"個"が育ちにくい傾向があることです。
恥の文化は人目をきにする文化であり、体裁を気にしてしまうのです。
 良い所、悪いところそれぞれありますね。

リワークに目をみけてみます。

リワークのメンバーさんは、参加当初自身の意見など言うのにとても勇気が必要です。しかし、メンバーみなさんが一種の集合体です。"個"を集団の中で徐々に表現しながら、自身の内面に向き合っていきます。
このリワークは一つの小さな社会であり、文化です。
琳派のような、個性豊かな人たちが、それぞれの目標は違えど、大きくみると同じで、一種の集合体です。体裁を気にせず、社会のいいとこ、悪いとこをみながら、自身を表現できる場にリワークを利用していただけたらと思います。