2021年2月12日金曜日

リワークでの手応えって?

「リワークにいるときは、休職に至った職場の時と違って、安心して過ごせたら。」そうメンバーは思うでしょう。

そう過ごして欲しいと、私たちも思います。

でも、安心して過ごせるという意味が、リワークが現実から切り離された場所になっているという意味では困ります。リワークは、現実に向かっていくための場所なのですから。

そしてリワークに参加していると、何らかの危機が訪れます。例えば、

・欠席が増えて出席率が下がってくる。

・苦手なプログラムが出てくる。

・グループの中に溶け込めない。

・苦手なメンバーが出てきた。

・スタッフとの関係が悪くなってくる。

・他のメンバーの優秀さと自分を比べて、劣等感に陥る。

こうした危機によって、リワークは苦痛な場所になります。リワークに来ることが嫌になります。

職場では、その結果、休職に至ってしまったのかもしれません。

当然私たちは、メンバーに、職場と同じことを繰り返して欲しくはありません。リワークで体験している危機を、一緒に考えて、踏みとどまり、新しい経験にしてもらいたい。

そう思って、メンバーに関わります。

「リワークでの手応え」ということを考える時

――職場で辛いときに繰り返されていた行動や考えがあったとことにメンバーが気づき、でもやっぱりリワークでも同じように辛くなるのだけれども、今度は以前とは違う何か新しい経験として、そのメンバーにもたらされる――ということを考えたいのです。

これは言葉で言うほと簡単なことではない。それは、わかります。

苦手なプログラムが得意になることはないし、嫌な人が好きになる訳でもないかもしれない。他のメンバーに比べて自分は出来ていないという最初の劣等感は、参加が長くなるにつれて確信に変わっていくかもしれない。信頼がなくなったと思った相手には、何を言われても不信感が募るばかり。自分が良いように変化できている感じがしなくなって、そうなったらリワークは意味がないなと思うかもしれない。

こうした体験は、非常に苦々しく、不快で、苦しいものです。

でも、そうであるからこそ、リワークではそういうメンバーのことを一緒に考えようとします。

その過程で、一体、何をそのメンバーが経験するか。

それが、リワークでの仕事です。

この仕事に意味がないと感じるか。

この仕事を無理矢理、やらされていると感じるか。

この仕事は辛いけれど、やって良かった、と思えるか。

最後に挙げた仕事になったら良いな、と思い、スタッフは一緒に仕事をしますし、その仕事を一緒にしたいと思えるメンバーが少しでも出てきてくれる職場を目指して、このリワークは存在しています。

リワークは、その意味でも、現実に通じている職場です。

だから、リワークで危機が訪れていない、ということは、本当の危機です。それは、その人が、リワークでは自分の現実に向かい合わずに済んだ、ということなのですから。

リワークという職場を終了するときに、何らかの手応えを感じて、その経験を次の現実につなげていって欲しい。そう思います。



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