2014年3月28日金曜日

出会いと別れ 〜職場復帰をされたメンバーの、リワークからの旅立ちを祝して〜

今週、三人のメンバーがリワークを卒業しました。
三人は、それぞれの職場への旅立たれて行きます。
三人のメンバーの復職を祝い、四月からの健闘を祈りたい思いです。

それぞれ在籍期間は違えど、リワークでの思い出は言い尽くせないほどたくさんあります。ああいうこともあったな、こういうこともあったな、と思い出していくと、三人が作ってきた、リワークプログラムでの出来事の記憶に出会います。
リワーク最終日、CRESSでは卒業式をしています。在籍メンバーから贈る言葉を述べ、卒業するメンバーが返答をするのです。
在籍メンバーの脳裏にも、卒業するメンバーと過ごした日々の記憶が呼び起こされていたことでしょう。復職を祝いしたい気持ちだけでなく、翌日からは彼ら彼女らがリワークにいないことに、哀しみを感じていたと思います。

リワークを卒業しても、CRESSでじゃ同窓会や交流会があります。再会できる機会があります。
しかし、そのことは知っていても、やはり、これまで机を並べたメンバーが、次の日に来てもいないことは、悲しいものです。

卒業という別れの場面に立ち会うとき、「出会い別れ」ということを、考えます。
今週の自己分析のテーマは、「出会いと別れ」でした。
そこでも、メンバーにとって、これまでの喪失体験がどれほど大きな影響をもたらすものか、あらためて考える機会となりました。

卒業は、三人にとっても、三人を送り出したメンバーにとっても、喪失体験でしょう。

今週、別れを惜しむメンバーさんを私は見ていて、「別れ」が悲しいと感じられる「出会い」をその人はしたのだな、と思いました。それは、かけがえのない体験だと思いました。
私たちは、いろいろな場所で、多くの人と関係を持ってきたはずです。家庭、学校、職場……。
人生において、別れることが心から悲しいと感じられる出会いを、私たちが一つでも持てたなら、それは、目には見えない成長を私たちにもたらしてくれるように思います。

リワークプログラムは、復職を目指すプログラムです。
しかし、メンバーの卒業式で、別れの悲しさを感じているところを目の当たりにしたとき、リワークの目に見えない意義とは、人生のこの瞬間の出会いの尊さを感じ、喪失を悲しむという体験に開かれる場所となりうることであるように思います。

喪失を哀しむことは、生きていることでもあるのですから。休職したメンバーが、生きる場所になることを、卒業式のたびに感じます。

リワークを旅立った三人との別れを哀しむとともに、三人が、四月から新しい場所で、別れを哀しむことができるような出会いを新たにされることを、願っています。








2014年3月20日木曜日

和田院長の講習会

テーマ:「うつ病の再発・慢性化」

 こんには^^;
本日は、2ヶ月1回行われる、和田院長の講習会でした。
今まで、「うつ病について」や「薬」や「睡眠」についてなどのお話を聞かせて頂きましたが、
本日は「うつ病の再発・慢性化」についてのお話でした。

再発を繰り返す事例を元にその事例の方が抱える問題を一緒に考えていきました。

・性格、考え方の偏りがないか
 ⇒自分の性格を知り、「考え方のクセ」を認識・修正する。

・生活習慣、リズムが乱れていないか
 ⇒規則的な生活リズムと適度な運動を取り入れる。

・仕事以外のことは(家族・趣味など)については?
 ⇒仕事、趣味、家族のバランスのとれた生活を送る。

など、事例を元に問題点や改善点を考えていきました。

再燃・再発予防の手段として、

・病気に対する理解を認める
・ストレス管理
・健康増進
・家庭、社会資源、自動グループの活用 が大事だと学びました。


最後に。。。

性格を変える事は時間がかかりますし、すべてを変える必要はありません。
よいところもいっぱいありますから。
まずは自分の性格を知ることからはじめてみましょう。
性格によって陥りやすい考え方のクセのようなものがあります。
この考え方のクセを少しずつ変えることは出来るのかもしれませんね!


2014年3月14日金曜日

自分のあり方をめぐって…


自分には、どんな特徴があるのか・・・

自分は、どういう風に考えるのか・・・

自分はどのように人と関わっているのか・・・

自分は周囲からどう思われているのか・・・


こういったことを、改めて考えることはありますか?


自分について考えてみると、一人で考えていると偏った見方をしてしまったり、
しんどくなって考えたくなくなったり、日々の忙しさに追われて考える気にもならなかったりしていくのではないでしょうか。

考えても考えても答えが見えないと、少しずつ、自分に向き合うことが難しくなるかもしれません。



リワークプログラムでは、さまざまな視点から自分について考えてみることをしていますが、アートセラピーもその一つです。

アートセラピーでは、絵を描いたり、俳句を読んだり、コラージュをしたり、宝地図を作ったり、表現することを通して自分について考えてみます。

表現することには、自分が意識している部分だけでなく、気付かなかった自分のあり方が表れることがあります。



今週は、仮面づくりをしました。(プログラムで仮面を作ったのは2回目です)
さまざまな仮面が並んでいます↓


作り方としては、何重にも重ねたアルミホイルで顔を型どって、その上に新聞紙と半紙を重ねてベースを作ります。

その上に思うように色を塗っていきます。

きっとプログラムで作られたみなさんは、“仮面作り”と聞いて、パッと思いついたものを作られたと思いますが、
出来上がった仮面には、作り手のみなさんの何かが投影されているように思います。


仕事や恋愛に悩みながらも人のためになるように活躍したいヒーロー心性があったり・・・?

みんなに怖がられたり、嫌われたりするかもしれないけど、災いを祓うために奮闘しようとするマスコットのようだったり・・・?

マイペースに自由に過ごしながらも、それが受け入れられる存在だったり・・・?

秘境で暮らす、誰からもあまり知られたくないようなキャラクター・・・?


きっとそれぞれの仮面には、自分自身が「こういう風に見られたい」とか「こういう風に思われたい」とか「こういう風にありたい」とか、そういう姿や願望が映し出されているように思います。


それぞれの仮面の意味するところは、みなさんが各自で考えてもらいたいところではありますが、
自分のあり方について理解を深めるために、もう一度、自分が作った仮面について関心をもってもらいたいなと思いました。

いつも、誰といるときも同じ顔をしているのではなく、
信頼できる人にだから見せられる顔があると思いますし、オープンにはできない姿というのもあるでしょう。


そういう見せたい姿や、ありたい自分がどういう姿なのかというのに目を向けることによって、気付かなかった自分の本当の気持ちに触れられるかもしれないですね。


なぜだか、思うように気持ちを伝えられないとき、困っていてもそれを発信していけないとき、求められている以上に何かを抱えてしまおうとするとき、
日々の中で起こる気持ちの揺れ動きに目を向けたときに、自分がどんな仮面をかぶっていたのかというのが見えてくるかもしれませんね。




2014年3月7日金曜日

リワークの意義〜リワーク同窓会とグループ作業(ワクワク♪リワーク通信)の体験を通じて〜

さる2月22日(土)、リワークプログラムCRESSを卒業された元CRESSメンバーの皆さんの同窓会を、リワークルームで開催しました。
休日にもかかわらず、おおぜいの方に集まっていただきました。今回は参加できない旨ご連絡頂いていたメンバーさんには、同窓会当日お会いすることはできませんでしたが、またの機会にお会いできるのを、楽しみにしています。

同窓会では、午前中は皆で輪になって、リワーク卒業後、職場に戻って思うことを、自由に話し合いました。皆さんの声を実際に聞いてみると、メンバーさんがリワークを旅立たれた後も、おのおのの職場や生活の場で、日々思い悩みながら体験を積み重ねて、いろいろなことを考えていることがわかりました。

グループの中から、アドバイスが出たり、感想が述べられたり、一緒になって悩んだり……こういう反応が生まれました。

順調にいっている方の話で印象的だったことがあります。その方も職場で困ることは日々生起しているのですが、リワークで身につけたことや、リワークメンバーと協働し交流した経験を支えにして、職場の同僚にも相談したり、自らがコミュニケーションをすることで、乗り越えていっている、という話でした。
リワークに参加する前は、自分で自分のこころを閉じて一人で何もかも背負いこんでいたのでしょう。きっと、その頃は、こころを開いて助力をもらうことを恐れておられたのだと思いました。
そういう方が、リワークでの出会いを通じて、何らかの内的な変化をしたのでしょう。例えば、それまで自分が知らなかっただけで、自分はいろんな人に実は支えられたり助けてもらっていたことを知る体験を、休職中持たれたのかもしれません。すると、これまでかたくなに閉じていたこころの壁も、徐々に緩くなってて、素直な自分の顔が出せるようになったのではないでしょうか。そういうプロセスを、リワーク参加中に成し遂げていったのかもしれません。

もちろん、当日集まってくれたメンバーの中には、復職しても不安や困ったことがたくさんあること、とても順調だとは感じられないのだ、という不安をお話しされた方もいます。
そういう方が言われたことで、とても印象的だった言葉があります。私なりに要約すると、以下のようなことを言われていました。
「今の自分は、リワークを卒業しても順調だとは言えない。だから、順調に復職している人たちが同窓会に集まってきていると思うと、出席するのも躊躇いがあった。最初は、欠席しようと思っていた。でも、同窓会に来てみて、みんなの話を聞くことで、何か力がもらえると思ったし、自分の現状を話すことも意味があると思って、今日は参加しました。」

こういうことが、とても大切なのことだと思うのです。

リワークの同窓会では、リワークで学んだことを職場で立派に活用していることを発表しあう場というよりも、卒業された皆さんが、今悩んでいることを自由に話せる場として機能できればと思っています。
順調に行っていることを発表したり、よく出来ていることを披露しあうだけの場になってしまっては、休職前に自分を良く見せようとして人に依存できなかったり、弱みを決して見せることができずに、一人崩れていってしまったことと、変わらないことになってしまいますから。

リワークの体験を通じての内的な変化とは、「よく出来る自分だけを見せて、弱い自分をいかに隠せるようになるか」では決してなく、「弱い自分や助けを求めている自分を、いかに自分自身が迎え入れることができ、それを他人にもコミュニケーションできるか」なのですから。

だから、同窓会で、皆がそれぞれの不安を言葉にできることそのものが、とても大切だと思いました。
そして、当日の同窓会が、そういう場所として、参加者の皆さんに体験されていたように思いました。
そして、久しぶりの再会を温めあえるときともなりました。

お昼は、学校のように皆でお弁当を食べて、近況や四方山話に花が咲きました。

午後は……卓球!
リワークの軽運動のプログラムを懐かしみながら、メンバーさんの素が出る楽しい時間となりました。
写真から、そのときの楽しさが伝わるでしょうか?

卓球の一コマ! 笑いがリワークルームに溢れます。



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同窓会の報告と、今日はもうひとつ、リワークのグループ作業で、
「ワクワク♪リワーク通信」の春号(第5号)
が見事完成したことを、報告したいと思います。
完成した「ワクワク♪リワーク通信」春号(第5号)です!

リーダーを中心に、リワークメンバーが協力し合い、見事に完成させた大事な作品です。
今回のリワーク通信では、過去のメンバーが作り上げてきたリワーク通信の伝統を生かして、再利用できるデザインについては過去のものをそのまま用いる方針を、リーダーを中心に決めました。
その上で、新たに今のメンバーでこそ発信できるリワーク体験を織り込もうとされました。

その意味では、今回のリワーク通信の中には、CRESSでの過去と現在が交錯していて、時間の重みを感じさせる素晴らしいものが完成したと思います。

グループ作業でメンバー同士が体験したことは、仲間と気持よく仕事ができた喜びや達成感といったポジティブな体験もあれば、それだけでなく、メンバー間でのコミュニケーションのしにくさや不満や怒りや劣等感といったネガティブな体験もあることでしょう。

そのどちらの体験にも開かれることが、大切だと思うのです。
そして、ネガティブな体験があったとしても、それをリワークで理解し合えることができれば、それは、リワーク卒業、復職されてからも、その人の本当の力になると思います。

ネガティブな体験から目を背けたり、そのことがもとで関係が破壊されてしまうのではなくて、嫌なことも含めてコミュニケーションしていこうとする体験ことが、リワーク集団が持つ治療的力なのですから。
そういう体験ができるために、私たちも皆さんに付き添っていきたいと思っています。

同窓会とグループ作業を通じて、CRESSでメンバーがとても深い交流と体験をしていることに、あらためて私たちスタッフも気付いた思いがします。
それだけに、CRESSに参加された皆さんを、参加されているときはもちろん、卒業後も同窓会などの機会を設けて、しっかりとフォローしていく責任感を感じています。