2022年3月24日木曜日

グループ作業で自分に出会う

「グループ作業」は、リワークのグループを職場に見立てて、納期を決めて全員でプロジェクトに取り組むプログラムです。

ホームページにも、これまでのグループ作業の成果物をアップしています(リンクしています)。


ワクワク♪ リワーク通信


響生~memoirsこの1年を回顧する~


和(なごみ)~こころの寄り道~


文芸誌オーロラ(Aurora)


これらの過去作品一つ一つに、その当時CRESSに在籍し、グループ作業に関わったメンバー皆の経験が拡がっています。


グループ作業に取り組むことを一つのきっかけにして、それまではほとんど意識していなかった自分自身の姿や、メンバーやスタッフへの気持ちや想いに気づく人がいます。


例えば……

  • それまでは『職場で辛い思いをして休職に至った者どうし』だと思ってメンバーと関わっていたAさんが、グループ作業でリーダーシップを発揮するポジションに就いた時。周りのメンバーたちが消極的で、仕事に向かってくれず、Aさんは自分はグループ全体のことを考えているのに、メンバー達は他人事で、非協力的だと感じました。そんな時、Aさんは、それまでリワークで感じたことがなかった腹立たしさや、失望を、メンバーや、リワークのグループに対して感じています。

  • それまでBさんは、リワークでメンバーと仲良く趣味などの雑談に興じていました。そんなBさんが、グループ作業で仲の良いメンバーと一緒に組んで仕事をすることになります。しかしその人は、グループ作業の肝心なときに欠席をし、しかも欠席した後も、そのことに触れようとせずに、以前のように趣味の話を持ちかけます。Bさんは、以前のようには心からはその人と雑談する気にはなれません。

  • それまでCさんは、リワークで学んだ概念や手法を使って、休職した理由を文章化し、整理し、図解しながら、自己理解しようとしていました。そんなCさんが、グループ作業で、相手から、「Cさんは、目の前の私たちと、真剣にコミュニケーションを取ろうとしてくれない」と指摘を受けることになってしまいました。これまで紙の上に描いていた自己理解の図解とは、一体何だったのでしょうか。Cさんは、愕然としてしまいました。


私は、しかし、このような創作エピソードが、CRESSに参加したメンバーの皆に起きることが大事だと思っています。


こうした経験は、それまで見ないようにしていた相手と自分の姿を見る経験です。それまで感じないようにしてきた気持ちを知る経験です。


グループ作業でメンバーがワークグループの仲間になることで、初めて気付けることもあるのです。


リワークに参加しても、「リワークは職場とは違う」という経験に留まったままだと、職場や仕事という現実に向かう力は生まれません。


リワークが、辛い職場からの避難場所であり、傷つきを手当をする場所である、ということは否定できないし、その意義を私は十分に考えます。


しかし、リワークが職場とは違って良い場所のままであっても、あるいは逆に、悪い場所のままであっても、職場というグループでの経験とリワークというグループでの経験が、自分自身を通じて繋がるものにはなっていません。


それだと、いつまで経っても、困った問題も危機を起こす原因も、自分の外側に存在しているという話になります。


そうなると不調になるたびに、自分の外側の環境を変えようという発想と行動が繰り返されるでしょう。


休職してリワークに参加された方に対して、私たちは、その人の環境を変えることに対しては、ほとんど無力です。


私たちが出来るのは、リワークというグループに参加したその人が、グループの中で、メンバーとの間で、そして私たちスタッフとの間で、一体何を思い、感じ、考えるのか。その経験を、一緒に考えることです。


職場と違ってリワークは良い場所だと思って来たけれど、やっぱりリワークに来ても、自分は上手くいかない。苦しい。どこに行っても、やっぱり自分は自分なんだ。


そういう経験がリワークで持てることこそ、その人が、休職して本当に自分に向き合っている証拠なのです。


リワークを本当に利用できている証拠なのです。


それまでは、「どこに行っても、自分は自分で、上手くいかない、苦しい。なんで自分はこうなんだ」ということすら、意識することができなかったはずなのですから。


こういう経験をされることが、どれほど貴重なのか。


でも、すると、自分自身が悩み多き困った存在で、そういう自分の変わらなさに嫌気がさし、自暴自棄になるかもしれません。


だからこそ、私たちスタッフが、その方の隣にいるのです。


グループ作業で自分の壁にぶつかるとき、そういう弱った自分が、人と関わることができるのか。


自分ひとりで閉じこもっている世界を、どうにか開き、経験を自分と相手とで何とか分かち合えるのか。


言葉にするほど簡単なことではないはずです。


一緒に、この簡単なことではない仕事に、取り組みましょう。




2022年2月25日金曜日

自己分析、自己を理解するということ

 突然ですが、あなたは『自分』をどれくらい理解していますか?

 

名前、生年月日、年齢、出身地など、簡単な自己紹介のような内容はすぐに答えられるかもしれません。

でも、自分自身への理解というのは、簡単なものだけでしょうか?

 

リワークでは自己分析というプログラムがあります。

読んで字の如く、自己を分析してもらうプログラムです。

皆さんにただ自由に考えてください!ということではなく、こちらが提示したテーマや、グループ課題に取り組んでもらうことを通じて、自己理解を深めて頂きます。

 

自分のことは自分が一番分かっている!と思っている人にとっては、自己分析はとても簡単なことに思えるかもしれません。

しかし、実は自己分析はとても難しいのです。

一体、何が難しいのでしょうか。

ここでひとつ私から質問です。

自分の姿を何も使わずに見ること・捉えることはできますか?

 

…私は不可能に近いと思います。

何かに自分を映すからこそ、自分を見ること・捉えることができると考えます。

実生活の中で、最もわかりやすいものは鏡ですね。

私たちは自分の眼だけでは、そのままの自分を見ること・捉えることはできません。

見ること・捉えることができなければ、分析することも、叶いません。

自己分析ではテーマやグループ課題を使うことで、自己を見てもらうのです。

そして、それらをメンバーと共有し、話し合うことで、自分視点だけではなく、他者視点からも自己を見ること・捉えるができるのです。

 

自己分析を通じて、これまでの自己の再確認や、新しい自己との出会い、自己尊重することに繋げてもらえたらとプログラムを実施しながら、いつも思っています。

 

このブログが自分をどれくらい理解しているのか考えて頂くこと、そして新しい自分との出会いへと繋がりますように。

2022年2月10日木曜日

身体の自分と心の自分

先日散歩道で梅の花が咲いているのを目にし、春の訪れをちょっぴり感じることができました。にもかかわらず、寒さ、コロナの波はまだまだ収まらず、意識していないとどうしても運動不足になってしまうこの頃です。若い頃は運動していても運動していなくてもさほど体調に変化は感じなかったのですが、最近は運動しない日が続くと身体が重く、やる気が出なくなるのをとても実感します。それで、慌てて散歩に出かけると、次の日寝覚めがよく、身体が軽くなり、ようやくごそごそと動き始めるのですが。人のやる気や心のあり様というものは、身体のコンディションとも大きく関連するのだなあと最近はつくづく感じせられます。

運動や睡眠しかりですが、最近は、腸内の環境までも心のあり様に大きな影響を与えていると言う話を耳にするようになりました。活発なネズミの糞便と不活発なネズミの糞便を腸内に入れ替えて移植することで、それぞれのネズミの活動性が反転するという報告もあるらしく、性格にも腸内環境が影響するのではないかと言われ始めています。性格や気分は、日々の暮らしの中での出来事、今まで体験してきた人間関係、生活の中で起きてくるストレスや負担、捉え方のくせ・・・といった、心理的要因のみならず、身体ととてもつながっているのに、案外日々の生活を送ることにかまけて身体の声は二の次にされることが多いのではないでしょうか。

リワークの中では認知や自己分析も行いますが、セルフチェックというプログラムを通して自分自身の生活を眺めて、自分の身体と心の変化について考える時間があります。メンバー間で自分の眠りや食事、運動などについて気づいたこと、困っていることについて語り合います。その中で飲酒や間食、スマホやゲームといった嗜好について話題に上がることがあります。生活の中で心を癒すストレスコーピングとして役立つ時もあれば、逆に心を満たすという隠れ蓑をかぶって、体を苦しめているジレンマに出会うこともあります。心も自分、身体も自分・・・。身体の声は耳を傾けにくいので自分ひとりではつい見逃してしまいますが、仲間とともに自分の身体と心のあり様を語り合いながら自分自身をケアできるといいですね。皆さんの腸内環境いかがですか?

2022年1月27日木曜日

今年の抱負は?

  新年がスタートし早1ヵ月が過ぎようとしています。皆さんは今年の抱負について誰かと話す機会を持つことがありましたか?あるいは自分の中で「今年はこうするぞ!」と言ったような具体的な目標があるのでしょうか?私は正直まだ考え中です…。出来れば、何か目標を持ってこの一年を過ごしたいとは考えているのですが、今年の年末にしっかりと評価出来るような状況でありたいと思えば思うほど目標設定が難しくなってしまいます。漠然と立てても恐らく三日坊主になることは性格上明白なので。

  リワークでは「私の目標」という記録表があります。メンバーの皆さんにはその中で目標を立て日々評価して頂いています。具体的には生活面での目標、リワーク内での目標、復職を意識した目標、この3点です。皆さん参加当初は、一般的な当たり障りのない目標を設定される事が多い印象です。それはリワークのイメージが掴みにくいということや、漠然としていて思いつきにくいという事があるのかもしれません。ただ日を追うごとに、自分の課題に合わせた目標に変化していき、自然と個別性が出て来ます。また、その目標を達成できているか11日評価し、更に他の人に報告することで、目標への意識が強くなり達成に繋がっているように思います。そう考えると、達成できる目標を立てるには、まず自分の課題を考えることが必要なのかもしれません。漠然と理想を持っても、それが本当に自分にとって必要な変化だと思えていないと真剣に取り組めないでしょうし、続けられないですものね。目標を決める前に、今の自分に必要な変化は何か、維持したいことは何か、もしくはプラスしたいことは何かを考えてみると、自ずと具体的な目標が出て来るのかもしれません。

 ということで、改めて今年の目標について考えてみようと思います。一年という時間をかけて自分のために努力する、そして年末には頑張ったであろう自分を褒められるようになっていたいものです。

よしっ!頑張ります!! 2月から(笑)

2022年1月19日水曜日

今年も宜しくおねがいします。

 2022年の1月も後半になってきました。年末年始の連休はゆっくり過ごすことが出来たでしょうか。帰省や旅行を控えていた方は今年も多かったかもしれません。今コロナ流行も第6波が来ていますね。感染対策が疎かになっていないか再度気持ちを引き締めたいと思います。


そろそろ生活リズムも休みモードから仕事モードに切り替わりつつある頃でしょうか?もしかすると一気にモードを切り替えたことで疲労感が溜まってきている頃かもしれませんね。リワークでは毎週1回セルフチェックを行って生活を振り返っていますが、連休を挟んだことで3週間ぶりとなっていました。生活リズムが安定していたり、睡眠が乱れてしまったりいろんな報告がありました。自分で生活を振り返ることで、反省点ばかりを報告するか、出来なかった点を次週はどう工夫して過ごすか、継続できている良い習慣を報告するか、で生活を整えるモチベーションが変わってくると思います。報告するためだけのプログラムだと、報告する相手がいなくなると生活が乱れがちです。自分がどんな生活を送っていきたいか、そのためにどのように工夫していこうかを考え、各自に合ったリズムを導き出すためにリワークにいる間に、色々な対策をメンバーやスタッフと考えながら取り組んでいきたいものです。

今年1年どのように過ごしたいか気持ち新たに目標を設定して、少しでも良い方に変化していきたいですね。

2021年12月24日金曜日

グループディスカッション

  今年も残すところあと少しとなりました。昨年に引き続きコロナに翻弄される1年でしたが、今年は感染防止の対策を講じながら通常にできるだけ近い形でプログラムを行ってきました。その中に、決められたテーマに沿ってメンバー全員で話し合う「グループ・ディスカッション」があります。今年も予定通り月に1回のペースで実施することができました。ディスカッションのテーマは、「休職経験を振り返る」と「復職に向けて」の2つがあり、これらを月ごとに交互に入れ替えて行っています。

 休職に至った経緯を振り返り、それをふまえてどう復職に向かっていくか、自分の中で考えていただくだけでなく、メンバー皆の前で話すことが重要な意味を持つと考えています。休職前に過ごした時間は平穏ではなく、多くの苦しみや傷付きを伴った時間でもあったと思います。そのような過程を振り返ることは、誰にとってもつらい作業だといえます。しかし、一人ではなくグループの中でメンバーと共に振り返ることで、別の角度からその経験をとらえ直すことができます。その過程で抱いた感情も、メンバーと分かち合うことを通して、客観視することができるようになります。そのことを通して、復職に向かう力を徐々に取り戻していただくことを目指しています。グループの力、一人ではなくともに考えるメンバーがいてこそ現実に向き合える大切な時間であると言えます。

来年もコロナを警戒しながらにはなりますが、このような重要な時間である「グループディスカッション」が通常通り行われるように努めていきます。

2021年12月3日金曜日

グループセラピーの時間

リワークのプログラムに、「グループセラピー」というプログラムがあります。

普段のプログラムでは、メンバーは椅子に座り、机を前にします。

グループセラピーでは、机を片付け、椅子だけ持って、皆で輪になって座ります。

そして、皆で自由に話し、考えるのです。

「自由に」とは言っても、一つ約束があります。

それは、リワークで経験していることを話すのです。このグループの中で経験していることです。

つまり、自分たちが参加しているグループの中での経験に、そのメンバーどうしで、向き合う時間です。

発言は、誰からしても良い。話す順番も決まっていません。

だから、誰も話さなければ、グループの中に沈黙が生まれます。


グループセラピーに参加すると、普段とは勝手が違う時間に、多くのメンバーが戸惑います。

『なぜ皆黙っているのか。』

『この人が話したのに、皆押黙って、話さない。なんで?』


初めて参加すると、十何人ものメンバーが車座になって座り、普段の会話をするでなく、黙っていたら、一体何が起きているのだろう、と思うはずです。


グループセラピーで一体何を話していいのか分からないと、難しく感じるメンバーがいます。


一体何のための時間なのか、回を重ねても、よく分からない。そう思うメンバーもいます。


その一方で、グループセラピーでの体験に、何かを感じ取っているメンバーもいます。


それは、単に発言できるからではなく、グループセラピーの時間で、心が動いた、という感覚です。


それも、今まであまり経験したことのないような、心の動きです。


その日のグループセラピーが、どういう展開になるのか、それは誰にも分かりません。


こう書いても、一体、グループセラピーが一体どういうものなのか、経験されていない方は、分からないと思います。


グループセラピーで心が動く経験をするメンバーがいる、ということを言いました。


それは個人だけの心の動きに留まりません。


グループが生みだす、グループの心が、その時、動いているのです。


そういう動きが起きるのは、経験の場であるグループの中で、その経験に、参加者全員で向き合うことから生まれます。


それは、おそらく、頭で知的に考えていることではありません。


図解するように、整理して納得していることでもないはずです。


自分でも良く分からない情緒や想いが、グループの中で何らかの心の接触により、生まれてくる。


そういう心の動きです。


それは、今この場所で、メンバーどうしの触れ合いによって生じる経験です。


グループセラピーにスタッフの私が入っている時、この触れ合いと動きがグループの中で生まれることを想いながら、メンバーの話を聴き、沈黙を感じ、何か言葉で伝えられるものが心の中から出てくることを、待っています。


グループが死んだように硬直している時間が、いかに生命を帯びて動き出すか。


こう書いても、グループセラピーが一体どういうものなのか、参加したことのない方は、やっぱり分からないでしょう。


分からないはずです。


生きることや成長することが、説明できないことに、似ています。


グループセラピーが難しいのは、心が動く経験がいかに難しいかということも示唆しています。


グループセラピーは難しい。


願わくば、一人でも多くのメンバーに、「難しい」というだけで片付けられないプログラムになったらと思います。


今まで重ねてきたグループセラピーで、固まっている心が、その瞬間、動き、生きた反応をグループに引き起こし、何かを感じる経験があったことを、これまでCRESSに参加された多くのメンバーは知っています。その場に立ち合ったはずですし、まさに心が動いた当事者かもしれません。


今まで感じたこともない情緒や、考えていなかった想いが自分を捉え、そういう自分が、一緒にリワークに参加している人たちの中で、登場したのかもしれない。


グループセラピーは、一体何の役に立つのか。


「こういう風に役に立つ」という言い方は、無理にしないでおきたいのです。


取って付けたような言葉になるでしょう。


実際に役に立つと思う人もいれば、役には立たないと思うかもしれない。


役に立つかどうか、それは分からないけれど、何が起こるか分からないまま、よく分からないグループセラピーに参加し続けたこと。

それは、リワークに参加し続けたことにも、似ているかもしれない。

何かがあれば、良いのですが。