2022年12月1日木曜日

“ことば”を使うこと

 黄や赤のきれいに色づいた葉が、はらりはらりと落ちていく様を見ていると、冬の訪れを実感しますね。あんなに暑かった夏が遠い記憶になりつつありますが、皆さまは季節のかわりをどんな風に感じておられますか?

 

今回は、言葉を使うこと、相手に言葉を用いて何かを伝えることについて、最近私が感じたことを書きたいと思います。

 

リワークでは、自分の思いや意見を他者に伝えることを目標に取り組まれている方がいます。それは、休職に至った経緯の中で、相談できなかった自分や、一人で抱え込んでいた自分がいたことに気づかれたからこそだと思います。

他者とコミュニケーションを取ろうと思う気持ちの中には、再発を予防につながるという考えなど、メンバーさんによって、いろいろな目的があると思います。

また、目標を立てて、実際に思いを言語化することに挑戦されている方や、ノンバーバルでのコミュニケーションに頼らず、言葉を使うことを意識されている方の姿を見ることがたくさんあります。

そして、伝えて良かったと安堵している方、言葉にしようと思うけれど、何だか怖くて言葉にできなかった・・・と反省されている方の姿も見られます。

言葉を用いて相手に思いを伝えることに、不安や怖さを感じることは、自然な心の動きでもあると思います。

一方で、怖い・不安ということにとらわれてしまい、相手に思いを伝えることの楽しさや嬉しさを忘れているようにも、私は感じています。

 

私事ですが、言葉を覚えたての小さなこどもが言葉を用いてコミュニケーションをはかろうとする姿を見る機会が増えました。

 

言葉を覚えたての小さな子は、熱心にかつ率直に言葉を使って、思いを表現してくれます。

例えば、朝には必ず「おはよー!」と言いながら駆け寄ってきたり、できないと困ったことを「やってー!」と全力で訴えたり。時には、欲しいものを「ちょうだい」と言ったり、嫌なことには「いやー!」とはっきりと言ったりします。躊躇いなく、言葉を使う姿に感心するばかりです(嫌とはっきりと言われると困ることもありますが)。

そして、「いやー!」ということに、「あらら、嫌なんか〜」と応えると、満足そうにしますし、嬉しかったことや欲しいものを伝えて、それが叶った時には、とても嬉しそうにします。

伝わったという感覚があるからでしょうか、何かがあると、積極的に言葉を使って、自分の意思を伝えようとします。

 

こういった小さな子の姿は、私にとって、「自分の思いを他者に伝えることは、そんなに怖いことではないのかもしれない」と思わせてくれる姿でした。

 

他者に思いを伝えることに、怖さや不安を感じることは、いろいろと考えることがあるからこそ、言葉を使って他者に伝えることをためらう気持ちも出てくるのだと思います。それはとても大切なことです。ただ、ためらう気持ちは自然ですが、伝えるべき時に、自分だけのものにしたり、言葉を使わずに終わったりしてしまうだけでは、なんだか勿体ないなと、思わせてくれたのも、小さなこどもの姿でした。

 

私も今日あった何気ない出来事を誰かに伝えたいと感じたり、悩んでいることを誰かに(私の中では明確に思い浮かべている人がいますが)伝えよう、相談しようと思っています。

2022年11月21日月曜日

木々の葉がきれいに色づいていますね

朝晩の気温がぐっと下がってきました。日中はまだ暖かく感じる時もあるので、紅葉を見ながらゆっくり散歩するのも心地いいかもしれませんね。

紅葉は急激な気温の変化によって、光合成からエネルギーに変換する働きと、そのエネルギーを使って養分をつくる働きのバランスの乱れを保とうとして色づくそうです。

人の体も今のように寒暖差が大きい時期は自律神経のバランスが乱れやすく、いろいろな不調が出やすい時期でもあるので、生活を見直して快適に冬を迎える準備をしませんか。

 

3食食べる…体内リズムを整えたり、体をつくり為に必要なエネルギーを食事から摂取します。体を冷やさないためにも、根菜類や代謝を高める発酵食品、冬が旬の食べ物を選んでみてください。

 

・適度な運動…寒くなってくると活動量も減りがちです。天気のいい日は散歩に出たり、同じ姿勢が続いていれば1時間に5分程度ストレッチ休憩を入れるなどこまめに体を動かすようにしてみてください。夏ほど口渇感が出にくいので水分摂取も忘れずに行いましょう。

 

・入浴…夏場はシャワーで済ませていた方も、40度程度の湯船で10分程度温まってみてください。日中寒さで固まった筋肉をほぐして代謝を上げてくれます。

 

・質のいい睡眠…体を締め付けるような服装は血液循環を妨げてしまいます。ゆったりした服装で、湯たんぽやエアコンなど活用して心地いい環境を整えておきましょう。カーテンを少し開けておくと日の光が入って朝起きやすくなります。

 

情報としては既知のものが多いかもしれませんが、いざ困ったときには思いつかなかったりもします。これからインフルエンザやコロナの第8波に備えて感染対策と体調管理に気をつけて過ごしましょう!

2022年11月4日金曜日

リワークプログラム SST

当院のリワーク・プログラムの1つにSSTsocial skill training)があります。SSTは、主役と脇役数名であらかじめ用意されたシナリオの中で演じてもらうロールプレイの形式で行っています。どの職場でも起こりうるような場面が設定され、そこで立候補によって決まった人たちに役割を演じてもらいます。数名で演じる脇役には用意されたセリフがありますが、主役にはありません。主役は脇役とのやり取りを通して即興で演じることになります。頼りにならない上司、やる気があまり見られない後輩、あるいは周りからの評価が高い同僚など、毎回違ったキャラクターの脇役が登場します。そして、主役はロールプレイが始まるまで脇役からどのような言葉が出てくるかわからない、つまり、ロールプレイの中で自分がどう反応するか事前に準備ができないため、その時感じた素の感情が出てくることが予測されます。主役を演じることは緊張や不安を伴い、勇気のいる決断と言えるでしょう。相手が攻撃的な態度をとってきたら主役の自分はどのように反応するか、依存的に関わってくる後輩がいたらどう接するか、あるいは強引な上司に大量の仕事を押し付けられたら…ロールプレイを通して休職前のストレスが想起されたり動揺が走ったりするかもしれません。しかし、改めて自己のコミュニケーションの取り方について振り返ることができます。戸惑いや動揺だけでなく、もしかしたら思っていた以上に冷静に対応することができる自分に気づくかもしれません。

 

ロールプレイ終了後には、演じた人、その様子を見ていたほかのリワークメンバーたちから気づいたことや感じたことなどをコメントしてもらいます。不安を抱えている主役を見ていた人たちは同じように辛い気持ちになるかもしれないし、攻撃的な上司を見て怒りを覚えるかもしれません。見ている側にとっても、演じている人たちと自分を重ねながら、自分ならどう対応するのか考える機会になります。

 

舞台の上で上手に演ずることが、このプログラムの目的ではありません。演じる人だけでなく見ている人たちも、不安や焦りといった様々な感情をプログラムの中でともに体験することができます。そして共有された体験だからこそ、見ていた人達から伝えられた感想や気づきには重みがあります。メンバー全員でこの時間を共有することで、主役を演じる人にとってのこのプログラムが復職につながるより貴重な体験となるでしょう。

2022年10月14日金曜日

グループ作業で、「ワクワク♪リワーク通信2022年秋号」を作りました

リワークプログラムCRESSのプログラムの一つに、「グループ作業」というプログラムがあります。

グループ作業では、リワークの集団を職場に見立てます。CRESSメンバーが、いわば、職場の同僚に当たるわけです。そして、2ヶ月ほどの期間をかけて、一つのプロジェクトに、CRESSメンバー全員で取り組みます。

具体的には、グループ作業も、CRESSの多くのプログラム同様、毎週1回実施しています。1回の時間は、半日プログラム(105分間)で、これが一つのプロジェクトにつき、10回前後。この決められた時間の中で、一つのプロジェクトの完成を目指すのです。

これまでのグループ作業の成果物は、当院のホームページにすべてアップし、公開しています。


ワクワク♪リワーク通信

タウン誌 和(なごみ)〜こころの寄り道〜

文芸誌オーロラ(Aurora)

響生(きょうせい)メモワール


今回は、直近のグループ作業の成果物を、ご紹介します。

ワクワク♪リワーク通信2022年秋号(No. 30)です。



リワーク通信も、今回で通算第30号になりました。
遡ること、創刊号が2012年秋。これがCRESS初めてのグループ作業の成果物でした。
これまでのメンバーさんたちが作ってくれたリワーク通信には、この10年間のCRESSの歩みが刻まれています。
今回のリワーク通信も、過去の作品の大事な部分を継承した上で、今のメンバーだからこそ作ることができる作品を目指しました。

グループ作業のプロジェクトとその成果物には、共通目標があります。それは、
CRESSの今のメンバーだからこそ発信できる内容にすること。
だから、その内容は必然的に、メンバーがCRESSで経験していることを出発点にしています。
リワーク通信も、まさにそうです。
リワークですから、メンバー全員で復職を目指している集団です。しかし、それは「リワーク」についての天下りの説明です。
もちろん、私たちスタッフは、リワークという集団療法の意義を、復職と再発予防の観点から、説明する言葉を持っています。
しかし、実際にリワークに参加しているメンバー自身は、リワークで何を日々経験しているのでしょうか。

メンバーのリワークでの経験を発信するのが、グループ作業のプロジェクト。
CRESSのグループ作業の成果物は、メンバーが実際に何を経験しているのかを、経験の当事者であるメンバー自身が、外に向けて発信する仕事なのです。

今回の最新のリワーク通信をご覧いただけたら、現在のCRESSメンバーたちの率直な想いの一端が、分かると思います。
リワークで復職に向かって順調に進んでいる、という一面的な内容は、ここにはありません。
在籍期間も年齢も様々なCRESSメンバーが、グループの中で、復職への不安や、リワークの中での辛い経験も含めて、しかし、お互いに影響を与え合いながら、日々リワークに参加していることが、きっと読者の方に伝わるものと思います。
楽しいことも、辛いことも、嬉しいことも、悲しいことも。グループでお互いに関わり合うから、経験する。
休職という痛みの経験を持ったメンバーが、一人ではなく、グループの中で、いろんな気持ちを経験して、それを一緒に考える。
きっと、それが、生きていることなのです。

限られた紙面の中で、CRESSのメンバーが経験を文字にし、絵を描き、一つの作品にする。
手を動かし、心を動かし、交流しながら、仕事をします。
そうすることで、仕事をするからこそ経験できる、いろんな気持ちが感じられます。
楽しいことも、辛いことも。嬉しいことも、悲しいことも。
いろんな気持ちを一緒に考え合えると、もしかしたら、仲間だと感じられるかもしれません。
そんな相手には、感謝できるかもしれない。
リワーク通信で、少しでも多くの方に、CRESSメンバーの取り組みが伝わったら、嬉しく思います。



2022年9月16日金曜日

自分にとっての秋

前回の投稿に続きますが、秋を取り上げて、ブログを更新していきたいと思います。


街並み、気温や香り(金木犀の香りが代表的ですが、今年はまだ出会えていません)といった変化を足音にして、秋という季節の訪れを感じることができるようになってきましたが、皆さんは『秋』と聞いて、どんなことが頭に浮かびますか?

 

私は、夏に青々としていた葉が、黄色や赤色と姿を変えて、秋の涼しい風に撫でられて、乾いた音を立てている様子が頭に浮かびました。それぞれの葉に、ほんの少し緑色が混じり、夏の名残を感じさせながら、次の季節へとゆっくりと向かっていく。風に撫でられ、同じ茂みの仲間と離されて地面へと落ちる葉や、茂みを色付ける仕事を成し遂げる葉がいる。葉は一見すると、全て同じように見えるけれど、どれも違う体験を持っている。1枚の葉を手にとって、丁寧にじっくりと見ていけば、それぞれのストーリーが存在していることに気が付きます。

 

それは私たちも同じです。私たちは、それぞれ違います。多くの人が秋という1つの季節を共有しながらも、感じることはそれぞれにあるでしょう。もちろん、秋に限ったことではありません。何を感じているのか、どんなストーリーを持っているのか、知りたいと思った時、初めて得られるものがあります。リワークに参加されているメンバーさんは、『知ること』に日々、取り組まれています。休職に至った自分のこと、リワークに参加している今の自分のこと、同じリワークのメンバーのこと、職場のこと、家族のこと…ここには書ききれないほど、たくさんの『知ること』に取り組まれています。『知ること』に取り組むことで、自分のストーリーを読み、綴る。その作業を繰り返し、ストーリーが厚さを増し、豊かなものへと変わっていくのです。

 

読書の秋という言葉もありますが、今年の秋は、自分のストーリーを読んでみる、知ってみるというのもひとつではないでしょうか。秋は実りの季節です。自分を知ることが皆さんの実りへと繋がりますように。

 

2022年9月5日月曜日

秋のひと時

  まだ暑さは残りますが、ようやく秋の気配が感じられるようになりました。      

秋といえば皆さんそれぞれ、夏とは違った楽しみや、癒やしが想い浮かぶのではいかと思います。我が家はどうも食欲の秋に傾きがちなようで・・・。

 先日、「グレーテルのかまど」というお菓子作りの番組で、なんとも宝石のように美しいフルーツサンドを特集していました。その美しさに、珍しく子どもも手作りしたい気持ちに掻き立てられたらしく、早速果物とクリームを買い込みました。見たとおりに再現し、美しいフルーツサンドができ、私も子どもも大満足。ところが、せっかくできたフルーツサンドですが、出された瞬間は皆とても楽しい気持ちになるのですが、食べ始めるとボリュームが多すぎて2〜3口でお腹いっぱいになり、無残にも途中で食べ残されてしまっていました。

 普段ならその残骸を見て、せっかく作ったのに・・・と何か恨み言を言ってしまいそうなのですが、作った本人が満足そうにご機嫌でいるのを見ると、なぜかそんな気持ちもすっと消えてしまいました。そんな様子を見ていると、作ったことで心が満たされ、いろいろな事はどうでもよいのだなと感じました。  私も、いつになく既のところで余計なことを言って、皆の心の満足を帳消しにしなくて済んだのは、私自身フルーツサンドを作ることで十分楽しみを得られていたからなのかな〜と感じました。私の感覚ではどうしても、フードロスや食べ物を残してしまう罪悪感が起きてしまうのですが、正しいことに囚われ過ぎて皆の楽しんでいる気持ちを潰さなくてよかったと思えた瞬間でした。

 ふと、以前に料理家の土井勝さんがおにぎりの特集をしていた時に、米を丹念に洗うことで、美味しいおにぎりが出来ると伝えた時、アシスタントの方がお米の栄養が取れてしまいませんか?とたずね、土居さんが、今の時代お米で栄養を摂らなければならない時代ではないので、そこにこだわらずに美味しいことを追求してもいいんじゃない?とやりとりしていたのを思い出し、時代や、その環境が変化してきた多様化の求められる現在、何が今ここにいる自分と相手にとって大切にできるとよいのか・・・自由度が広い分、柔らかい頭が必要だなと感じました。それは楽しくもあり、難しくもあるものだなあと感じた秋の一時でした。皆さんもいろいろ秋を味わって見て下さい。

2022年8月23日火曜日

暑さに強い身体になる。

 お盆も過ぎ8月も後半に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。TVからも日々猛暑、酷暑といった強い言葉が聞こえてきます。皆さんの体調はいかがでしょうか?体のだるさ、頭痛、食欲不振、といった症状はありませんか?寝付きの悪さ、中途覚醒、日中の眠気といった、睡眠の質の悪さを感じておられませんか?もしかすると自覚のないまま夏バテになっているかもしれません。

 「暑熱順化」という言葉をご存知でしょうか?これは字の如く暑さに身体が慣れることという意味です。環境省は暑さに強い身体をつくる「暑熱順化」を推奨しています。これだけ暑いと熱中症にならないため、エアコンが効いた部屋で過ごすことを選択される方が多いと思います。それも大事な対策です。ただそれでは必要時の外出の際に暑さに身体が対応できず、逆に熱中症になりやすい状況に成り得ます。そこで、健康的に夏を乗り越えるために「暑熱順化」を行い、暑さに強い身体を作ることが大事です。ではどうやって作るのでしょうか?

 「ある程度暑い環境の中で運動を行いしっかり汗をかきましょう!」


 これは、熱放散のメカニズムに変化を起こさせるためです。もう少し詳しくお話しすると、人は体を動かすと、体内で熱が作られ体温が上昇します。体温が上がった時は発汗や、皮膚血管を広げることで熱を放散させ体温を調節しています。この体温調節がうまく出来なくなると、体の中に熱がたまり熱中症が引き起こされます。「暑熱順化」が出来ていると、この熱放散がしやすくなり体温の上昇が防げるのです。「暑熱順化」とはそもそも夏が来る前の梅雨終わり頃より始めることが推奨されています。今は夏本番で、いきなりこの猛暑の中運動を始めることはかえって危険です。ただ、朝晩の気温が下がっている時間を選んでウォーキングをしたり、運動が難しい場合は毎日入浴することでもOKです。汗をかく体にすることがポイントになりますので、入浴時は汗が出るまで浸かって下さい。大体1015分が目安とされていますが、体調をみながら時間は調整して下さいね。これを2週間続ければ「暑熱順化」するとされています。


 期間も短く、決して難しい内容ではないと思います。

暑さに強い身体を作り、共に残暑を乗り切りましょう!