2014年12月26日金曜日

2014年の終りに 〜グループ作業で作った「響生2014年memoirs」と「年末パーティ」と〜

今日は、2014年のリワークの最終日でした。
CRESSでは、年内最終日には年末パーティをしています。
午前は映画を鑑賞します。午後はメンバーで知恵を出し合って企画した、チーム対抗ゲーム大会を楽しみ、最後に一年の振り返りと、リワークルームの大掃除をして、リワークの一年の終わりとなります。
先ほどまでメンバーでゲームに興じていたリワークルームには、パーティの余韻が残っているようです。
↑年末パーティのプログラム

今年の映画は、「東京ゴッドファーザーズ」(今敏監督)というアニメーション映画を鑑賞しました。
主人公は、家と家族を喪失した三人のホームレス。彼ら彼女らが、クリスマスの晩に、ゴミ捨て場で赤ちゃんを見つけます。主人公たちは、捨てられた赤ちゃんの母親を見つけようと、ときに激しく衝突しながらも、力を合わせて奮闘します。
赤ん坊の母親を探すなかで次々と主人公たちに起こる劇的な出来事が、主人公たち自身が自らの弱さゆえに切り離していた家族と再会し、そこで苦しみ悲しむ出来事と折り重なります。
我が子を失い悲しんでいるはずの母親のもとに、赤ちゃんを返そうとする展開そのものが、主人公たちにとって、家と家族と母親ともう一度出会おうとする意味を持っていたようです。母親探しの旅路は、彼らホームレスの主人公にとって、治療的な意味を持っていました。素晴らしい映画を見ることができて、それを紹介してくれたメンバーさんに感謝したい気持ちです。
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今回の年末パーティの企画準備は、グループ作業の一貫として取り組んできました。メンバーの代表であるリーダーを中心に、治療の場であるリワークでメンバーが年末最後に楽しめるゲームには何があるか、それをどういうルールにするか、知恵を出しあい、考えました。
そうやって決まったのが、「ジェスチャーゲーム」、「連想ゲーム」、「キーワードゲーム」、「玉入れ」です。
そして、今日。頭と身体をいっぱい使って、リワークルームには笑顔が溢れていました。
この瞬間、メンバーの皆が、スタッフも含めて、ジェスチャー当てをし、頭を使って連想をし、NGワードを相手に言わせようと知恵を絞り、そして、1つでも多くの玉を入れようと一生懸命になりました。
それはあたかも、子どもが何の見返りや報酬がなくても、ただ純粋に遊びそのものに夢中になるような体験に近かったと思います。
遊ぶことができること、遊びを楽しめること、そして、誰かと一緒に遊べること……
うつ病で休職し、復職を目指しているリワークメンバーが、そうした「遊び」を今日体験できたことが、今日見た映画『東京ゴッドファーザーズ』ではありませんが、とても治療的な意味を持っているのだと思います。


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そして、時間は遡りますが、11〜12月のグループ作業で、「響生 2014年 memoirs」をメンバーで協力して完成させました。去年の創刊号につづいて、第二号となります。

では、完成した「響生 2014年 memoirs」を御覧ください。



↑響生 2014年 memoirs



「響生 2014年 memoirs」では、2014年が終わるにあたって、CRESSの一年間の活動を振り返り、リワークでの出来事を年表に綴ってみました。
このメモワールに込められた想いを説明するために、メンバーさん自身が綴った前書きを抜粋します。

『響生(きょうせい)』とは、CRESSのメンバーから生まれた造語です。
『響』きあい『生』きる。
自分の音を大切にしつつ、他者の音を確かめ、それが共鳴し響き合う
吹奏楽の調べのように…
私たちは、自分の気持ちや考えを素直に発信し、お互いを認め合い、
その中で自分を見つめ直し、復職に向けて共に歩んでいます。
そんなメンバーの思いをこの冊子のタイトルにしました。

このメモワールにはメンバーの病気への苦悩、リワークで揺れる気持ち、復職への願い、未来への希望が込められています。笑い、また真剣に語り合い生きてきた、私たちの轍(わだち)が記されています。この『響生』を手にされた方にCRESSのメンバーのそんな軌跡を感じていただけたら幸いです。




グループ作業は、自分とは違う他者と仕事をする体験です。そこでは、自分と他者との相違点が、よりはっきりと浮き彫りになります。それは新たな発見にもなりますが、多くの場合、衝突や苦悩を生み出します。
年末パーティの準備でも、「響生 2014年 memoirs」の作成でも、そうした対立や苦悩を多くのメンバーが体験したことでしょう。
しかし、グループの中で負った苦しみや傷つきを、最終的に癒して治療するのは、グループの持っている治療的な力であると、実感します。
対立した者どうしが、お互いの気持ちを伝え合い、相手の気持ちを受け取り、再び手を握りあえたり、前よりも深い理解に達する場面を、私たちはリワークで見ました。
そうした危機をリワークで体験し、それを乗り越えることが、メンバー各自が自己と他者への信頼を獲得する治療的な体験になることを、信じます。

リワークに在籍されているメンバーの皆さん、ブログを読んでもらっている卒業メンバーの皆さん、そして、ブログを読んでくれているまだ見ぬ皆さん、良いお年をお迎え下さい。
そして、来年が、皆さんにとって、良い年となりますように。


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