2014年10月17日金曜日

今月の心理教育は・・・


 
 リワークプログラムCRESSでは、2ヶ月に1回、心理教育の時間を持っています。
 
 スタッフの心理士や看護師が交代で、さまざまなテーマ(対象喪失、アイデンティティ、生活習慣病など)で講義を行っています。

 今月のテーマは【社会と個人】というテーマで、みなさんで一緒に考える機会を持ちました。

 普段、リワークの中では、自分自身について考えてみることに重きを置いていますが、
どういう社会の中で、私たちが暮らしているのか、社会から自分自身のことについて見てみて、自己理解を深めていっていただきたいという思いから、今回のテーマを挙げました。 



 私たち個人という存在は、1人で存在しているのではなく、多面的に見ると何らかの社会集団の中で生活を送っています。

 ・どこの国で生活しているのか
 ・どこの都道府県で生活しているのか
 ・どんな地域コミュニティの中で生活しているのか
 ・どんな職場で働いてるのか
 ・どのような部署に所属しているのか
 ・どういった家庭環境に置かれているのか

 少し書き出してみただけでも、私たちがさまざまな人と関わり、日常生活が成り立っているということが見えてきますよね。

 このような環境、集団の影響を私たちは大きく受けることになっています。

 大きく見てみると、日本で暮らしているのと、イギリスで暮らしているのとでは文化が違うでしょうし、公共サービスも、制度も異なっています。

 大阪で生活するのと、東京で生活するのとでは、風土が異なりますし、さまざまな違いがありますよね。

 そのため、大阪では通じる言葉が東京では通じなかったり、ここでは当たり前だったことが、別のところに行くと全く理解されなかったりする体験もあるのではないかと思います。

 職場の中で見ていくと、会社が合併したことによって、体制が変わったり、
 部署が変わったり、ポジションが変わったりすることによって、新たに適応していくことが求められるということがあるように思います。


 このように、私たちが感じる気持ちというのは、どういう集団に属しているのかという影響を強く受けます。

 前の上司がいたときはうまくいっていたのに、新しい上司になってからやり方が違って、うまくいかなくなってしまうという経験がある方もいらっしゃいますよね。
 環境の違いによって、その都度そこに合わせてやっていけないと、何らかの問題が生じてきます。そこは避けては通れないように思います。



 たとえば、毎日のように多くのクレーム対応を即座に迫られている環境下で仕事をしているときに感じる気持ちと、
 自分のペースで、それぞれが担当している分を干渉されずにものづくりができる環境下では、感じる気持ちが違うということを想像できると思います。

 前者の方では、常に焦る気持ちがあって、早く解決して対応しなければならないという思いが強くなり、その部署全体が落ち着かない雰囲気だと感じられ、常にイライラした気持ちが蔓延していってしまうでしょう。

 一方、後者の場合では、気持ちに余裕があるため、自分が取り組む仕事にじっくりと向き合い、安心して穏やかに過ごせるのではないでしょうか。

 

 みなさんは、どのような地域で誰と生活し、どんな職場環境で仕事をしていますか?
 仕事は自分でコントロールできるものでしょうか?
 量的・質的に負担はないですか?
 どんな役割を担っておられますか?
 周りに頼れる人はいますか?
 苦手だなと思う人はいませんか?

 人が複数集まると、そこには、その集団に特有の心の動きというものが生じます。
 個人の中に気持ちがあるように、グループの中にもそのときどきのグループメンタリティが動いています。

 会話が少なくて、仕事をするのに息苦しいグループもあれば、
 お互いに意見を活発に言い合えて、意欲的に仕事に取り組める雰囲気のグループもあると思います。

 
 ここで、立ち止まって考えていただきたいことは、「この環境で働くことがしんどいな。いつも残業ばっかりで、やりたいこともできないし辛いな」と思う気持ちが強くなると、そこで適応していくことが困難になってしまうということです。
 
 心の中で、しんどいなと気付けたとき、自分の気持ちに目を向けて、どうしてしんどくなっているのか考えていけると、
「残業が毎日続くと誰でも体力が続かないよな」「ここの部署の担当する仕事が多すぎるし、仕事の分担に偏りがありそうだな」「みんな大変そうだし、全員で目標に向かっていくためにもこの気持ちは1人で抱えるのではなく、部署の誰かに話してみようかな」と視野が広がっていくかもしれません。

 
 大切なのは、1人で何とかしないといけないと思って抱え込んでしまうのではなく、グループの1人として自分自身のことを見てみて、どうできるとよさそうか考えてみる視点を持つということです。

 そのことによって、周囲とのコミュニケーションが増え、個人個人の中につながりが生まれ、グループが課題達成に向かう力動が強くなっていくのではないかと思います。
 

 1人で考えているよりも、誰かに話を聞いてもらって、少し気持ちが軽くなったり、もう少しがんばってみようかなって思えることってありますよね。

 誰かに自分の気持ちを差し出してみることは、すごく勇気がいることだと思いますが、
 伝えてみないと、抱えてもらえないし、私たちが本当に安心して過ごすということは難しいと思います。

 
 今、どういうグループの状況になっていて、みなさんがどんな気持ちを感じることになっているのかを立ち止まって考えていけると、置かれている集団の中で何ができそうなのかというヒントが見えてくるのではないでしょうか。

 








さて、明日10/18は、アフターリワークプログラムですね♪

卒業されて、みなさんどんな風に過ごされているでしょうか?

明日お会いできることを楽しみにしていますね☆



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